異界と場所 / 森田真生 × 富川岳
トークイベント企画
【異界と場所 / 森田真生 × 富川岳】
知人を介して出会い、共に夏の遠野を巡ったのが2023年9月10日。その後、2024年1月の京都、2月の銀座、4月の盛岡/遠野、5月の盛岡、そして今回8月の盛岡/遠野。一方は遠野で、一方は京都。遠く離れているにも関わらず、この1年間で6回も直接会い、対話を重ねてきた。同じ遠野で暮らしていてもこの一年一度も会っていない知人もいる。
著作『センス・オブ・ワンダー』は2万部を越え、独立研究者として、また作家として全国に彼を待つ多くのファンがいる。小さくて優しいミクロな世界にも、哲学的で天文学的なマクロな世界にも精通する巨大なズームレンズを脳内に持つ。圧倒的知識量が故に随分年上だと思っていがが、年齢は一つしか違わない同世代。
「異界と場所」vol.2。テーマは「シシと風」とした。タイトルだけだと、もはやなんのイベントがよく分からない。最小の"場所"である身体を通して、シシとして土の上で踊る者と、惑星レベルで世界を見ながら"風"を通して、人の心の在り方を探ろうとする者。早坂大輔さんの力を借りて、それぞれの今の感覚、最新の思考を共有した。
小さい声に耳を傾ける。人以外の声を聴く。人の声も聴く。止まる勇気。寛容であること。記録すること。書くこと。自分たちらしく"在る"こと、それを考え続けること。
話す度に分かることと分からないことが生まれ、新たな地平が見えてくる。世界は広い。答えではなく問いが生まれる。その解はいつも遅延する。次はいつ会えるだろうか。それぞれの新刊が出るタイミングか。秋になれば落ち着く。冬になれば書ける。春になれば話せる。その時また再会し、話せるといい。と書いていたら、またじきに会えることになった。なんだろうこれは。森田真生という巨星は公転をやめない。いや、巨大な自転の引力にこちらが気持ちよく振り回されている。えらい軌道に入ってしまった。もらったエネルギーを燃料にしてまた書いていく。考えていく。
異界と場所にお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。また来年、森田さんをお招きして開催したいと思います。その時には僕の新刊も世に出ていると思います。シシ踊りを7年踊り、感じたことを綴ったノンフィクションになります。
credit
企画:富川岳 / ディレクター・写真:宮本拓海